(この記事は 2014 年 3 月 11 日に Office ブログに投稿された記事 Introducing codename Oslo and the Office Graphの翻訳です。最新情報については、翻訳元の記事をご参照ください。)
今回は、ノルウェーを拠点とする FAST エンジニアリング チームのグループ プログラム マネージャーを務める Ashok Kuppusamy の記事をご紹介します。
マイクロソフトでは今回、Office 365 ファミリに新たに加わった Oslo (開発コードネーム) を発表でき、たいへん嬉しく思います。この Oslo と Office Graph は、先日開催された SharePoint Conference の基調講演で発表いたしました。Oslo については、以下の Office 365 のガレージ シリーズのエピソードで詳しくご確認いただけます。このエピソードは SharePoint Conference の会場で撮影されたもので、ホスト役の Jeremy Chapman と同僚の Cem Aykan と一緒に私も出演しています。
(Please visit the site to view this video)
この発表内容に高い関心をお持ちいただき、嬉しい限りです。この記事では、Oslo によって次世代の検索/発見機能がどのように実現されるかを、さらに詳しくご紹介したいと思います。
次世代の検索/発見機能 – 情報に基づく自動検索
Oslo を開発するうえでの目標は、検索機能を刷新するだけでなく、ユーザーが的確な情報に基づいて簡単に、さらには楽しく仕事を進めることができるよう支援することでした。結局のところ、ユーザーの仕事は "検索する" ことそのものではありません。検索は、実際の仕事を進めるための手段の 1 つです。上記の大きな目標を見据え、私たちは、アプリケーション間にある情報の垣根を取り払い、情報を発見しやすくして、チームでネットワークのような連携を実現するにはどうしたらよいかと考えるようになりました。その結果生まれたのは、単なる検索ソリューションではなく、先を見越し、変革をもたらし、楽しく働くという、これまでにない働き方です。Oslo は、インテリジェントかつソーシャルな新しい働き方を実現する最初のソリューションになります。
この後は、一連の機能を羅列していくのではなく、Oslo によって働く世界がどう変わるのかを見ていきましょう。
先を見越してユーザーに合わせてカスタマイズされる Oslo
皆様も私と同じように、毎日多くの仕事を抱えていらっしゃることでしょう。数時間に及ぶ会議が予定されており、大量のメールに目を通して対応しなければならず、通常は多くの人と緊急の問題について話し合う必要があり、1 日の時間がまったく足りません。これは、皆様にも馴染みがある状況ではないでしょうか。
Oslo をご利用いただけば、そうした慌ただしい日々に平和が訪れます。その日に確認する必要がある情報、さらには近いうちに重要になりそうな情報が表示されるため、不要な情報が目に入ることはありません。また、業務内容や社内ネットワークのユーザーに関連して話題になっている情報も確認できます。情報は、活用しやすく、すぐに確認できる形で提供されます。
Oslo では、業務内容やネットワーク内のユーザーの行動に基づいて、ユーザーの関心を引く重要な情報に焦点が当てられます。
Oslo は、ユーザーに合わせてカスタマイズされます。たとえば、Oslo で私に対して表示される情報は、私のチームに所属する他のどのメンバーの場合とも異なります。では、表示する内容を Oslo がどのように把握するかというと、Office Graph の機能を利用するのです。
Office Graph は、高度な機械学習の手法によって、関連するドキュメント、会話、周りの人とユーザーをつなぎます。
Oslo をご利用いただく場合、仕事のやり方については何も変える必要はありません。Oslo には、Office Graph を通じて、どのドキュメントを共有し、どの人と会議を行い、どのドキュメントに目を通すのかといった、既に毎日行っているアクティビティが自動的に表示されます。アクティビティの種類としては、確認したドキュメントなどの非公開アクティビティと、Yammer でフォローしているユーザーなどの公開アクティビティがありますが、非公開アクティビティは常に非公開のままです。
過去に見たコンテンツを見つける
冬季オリンピック開催中のある時、私は開発マネージャーである Kjartan Mikkelsen と会議を行っていました。Kjartan は、どのような話題についても何かしら知っている、優秀な人材の 1 人です。彼は優れた PowerPoint ファイルを使用してプレゼンテーションを行い、スピード スケートと、ノルウェー人がスケートのラップ タイムをひどく気にする理由について紹介してくれました。このすばらしい会議のおかげで、私は今後、スピード スケートをまったく違う観点から見ることになるでしょう。
さて、昨日は偶然にも、その時見せてもらったプレゼンテーション資料を再度確認する必要がありました。Kjartan が資料のリンクを送ってくれなかったので、私はその保存場所を知りませんでした。普通なら、彼にメールしてただひたすら待ちますが、その必要はなくなりました。なぜなら Oslo で、私に対して表示された ([Presented to me]) すべての PowerPoint プレゼンテーションが表示されるからです。
Oslo の [Presented to me] ビュー。Kjartan のスピード スケートに関するプレゼンテーションが最上部に表示されています。
では、Oslo は、私に対して表示された内容をどのように把握するのでしょうか。実はこれも、Office Graph の魔法のような機能のおかげです。Office Graph は、ユーザーが参加している会議、だれかがプレゼンテーションを行っている状況、そのプレゼンテーションが保存されている場所を把握しています。Oslo はこれらの情報を結び付けて全体像を作り上げ、ユーザーに対して行われたプレゼンテーションを表示します。
この魔法のように見える機能は、[Presented to me] ビューに限定されるわけではありません。Oslo では、[Shared with me]、[Modified by me]、[Trending around me] といった直観的かつ自然なビューによって、業務に関するすべてを操作できます。このように、Office 365 では、情報の保存場所を覚えておく必要はなくなります。
よく利用するフィルターとユーザーにとって重要な人がオプションとして表示された、既定の検索ビュー。
Work like a network – ネットワークのようにつながり働く
ほとんどの人にとっては、社内ネットワークで非常に多くの情報が飛び交っているため、自分の周りで何が起きているのかを把握するのは困難です。たとえば、同僚である Dan が作業したドキュメントを探す必要があり、それが学習に関するドキュメントだとします。今日の検索エンジンで "学習" と入力した場合、表示される結果はあまりにも多すぎます。なぜなら、"学習" という言葉は膨大な数のドキュメントに含まれているためです。Oslo なら、検索ボックス内に "Dan" と入力するだけで済みます。すると Oslo で Dan のページに移動し、そこで Dan が扱ったドキュメントや彼が一緒に仕事をしたことがあるユーザーを確認できます。もちろん、表示できるのはアクセス権があるドキュメントのみです。
Oslo では、一緒に働いている人が表示されるほか、同僚どうしの関係も表示されます。
Oslo なら、人の名前を覚えておくだけで、必要なすべての情報を見つけることができます。私たち人間にとっては、ドキュメント名やキーワードよりも人の名前を覚える方がはるかに簡単です。こうした、人を通じてコンテンツにつながるという変化は、本当の意味で変革をもたらすものを示唆しています。つまり、周囲の状況を常に "把握している" 状態を実現するための新しい方法です。これは、ドアが閉まっていて周囲で起こっていることがほとんどわからないオフィスでの勤務と、絶えず変化する情報に接するオープンなオフィスでの勤務との違いです。
この変革は小規模のチームでも起こります。マイクロソフトでも、チームで Oslo を使用している場合、会議が少なくなります。また、進捗レポートの送信回数も減ります。そして、"業務について話すこと" 自体が少なくなります。その代わり、私たちは皆自分の仕事をしながら、Oslo を通じてお互いの業務の最新情報を確認します。また、組織全体にわたる情報を、より効果的に再利用できます。仕事に対するフィードバックも、会議を待つまでもなくすぐに行います。仕事のペースが上がりますが、それでも周囲の状況を "把握している" という感覚があります。それはまるで、チーム全体が、何が起こっているかを把握していながらも絶えず邪魔が入るわけではない、オープン スペースの部屋で働いているかのようです。マイクロソフトではこれを "Work like a network – ネットワークのようにつながり働く" と表現しています。なぜなら Oslo によって、他の人とつながり、関係を築いて、情報を共有することがこれまで以上に簡単になるためです。さらに、オープン性と透明性を基礎とする Oslo は、新たなレベルの生産性を実現します。
皆様と共に働き方を変革し、ユーザーの業務の進め方を大きく変えることができれば、これほど嬉しいことはありません。ここでご紹介したのは氷山の一角にすぎず、さらなる詳細を発表してまいります。
今後公開される Oslo の最新情報にぜひご期待ください。
引き続きノルウェーで開発を進めてまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
– Ashok Kuppusamy