近年、Office 365 の採用がさまざまな理由で加速していますが、多くのお客様に指摘していただくメリットとして、グローバルに利用することができるという点が挙げられます。いまや多くの企業が中国をはじめとする東アジア、東南アジア、北米、南米、中東、ヨーロッパ、アフリカなどの海外に拠点を持ったり、海外とのビジネスを推進しています。海外とのやり取り抜きでは成り立たなくなっているビジネスも数多く存在します。国産のクラウドサービスに信頼を寄せている企業もいらっしゃると思いますが、マイクロソフトのクラウドサービスは同じサービス内容を世界中の様々な国と地域で提供できることにメリットがあります。
今回の記事では、グローバルにビジネスを展開しているお客様が様々なクラウドサービスを検討した結果 Office 365 を選択していただいている事例を業種別に 20 事例ほど一挙にご紹介します。
建設
- 安藤ハザマ: 旧 安藤建設、旧 ハザマの 2 社では、共にオンプレミスのメール システムを構築、運用してきました。しかし、この合併に際しては「メール システムの構築および運用負荷を軽減し、安藤ハザマの船出に、問題なく間に合わせる」ことが大前提になっていました。さらに、合併後に発表された中期経営計画における重点施策として、海外における「得意地域、得意分野での収益確保」と「重点事業としての長期的ミッション達成の布石」が謳われており、海外拠点も含めたコミュニケーション環境をスピーディーかつ柔軟に整えられる環境を実現することも重要となっていました。同社は、ネパールやインドネシアなど、ネットワーク環境が厳しい国にも進出していますが、どこの拠点にいてもメールは必要です。有期の現場拠点で、VPN など海外ネットワーク インフラを専用に構築することは、コスト的に問題があります。その点、世界中にデータセンターを展開しているマイクロソフトのクラウド サービス Office 365 の、CDN を備えたネットワークを活用できることは、非常に大きなメリットがあると考えられます。
- 株式会社大林組: 海外においては、現地法人を設立することが多く、人材も現地で調達しています。そして、メール システムなども、現地法人主体で整備していたのです。しかし、グローバル ICT 推進室ができて、日本からのガバナンスを強めていく方向にシフトしました。まずは、シンガポールにアジアの統括事務所を、サンフランシスコに北米の統括事務所を設置して、日本を含むこの 3 拠点を専用回線でつなぐなど、環境整備を続けてきました。当然、今回のメール システム更改に際しても、グローバルで活用できるものを選択したいという希望がありました。マイクロソフトの Office 365 であれば、世界各地にサポートの窓口がありますから、海外拠点でトラブルが発生した場合もスピーディーに復旧できるでしょう。この安心感は大きいです。さらに、海外の現地法人の多くは、現在オンプレミスの Exchange Server を使っており、現地でもクラウドへの移行を希望していましたので、日本が Exchange Online を採用したことは、予想以上に好評でした。
化学工業
- 株式会社カネカ: 国内の全社員は社内外から Office 365 にアクセスでき、Exchange Online や Lync Online の機能を利用できます。また大阪本社と東京本社ではオンプレミス版の Lync Server によって、PC による内線電話の受発信が可能です。オンプレミス版の Lync Server と Office 365 の Lync Online は連携して動作するようになっており、Lync Online の機能は海外拠点や関連会社からも利用可能です。これに加えカネカでは、キャリアが提供する FMC (固定、携帯融合) サービスや IP 電話サービスも利用されており、これらとの通話も Lync 経由で行えるようになっています。大阪本社の移転に際して PBX を廃止しています。その翌月には東京本社へのオンプレミス版 Lync Server の横展開も行われています。
- デュポン株式会社: 『ワン デュポン』というコンセプトで事業部間の壁を越えた新しい取り組みがはじまり、組織間のコミュニケーションと共同作業を活発化させるための情報基盤づくりも重要になってきました。当時の旧来型のシステムは限界を迎えていました。このため、米国本社主導の下、全世界の情報基盤を Microsoft Office 365 (採用当時は BPOS) に移行することが 2010 年 10 月に発表されました。共同作業を支援する情報基盤は、今回の移行で Office 365 と Office 2010 に変更されます。電子メールと共同作業は、今後これらの新しいソフトウェアを PC から利用して行ったり、モバイル デバイスから接続して行ったりすることができるようになります。日本でも IT 部門のメンバーが最初に Office 365 のアカウントを作成し、検証をはじめました。その後、エンドユーザー部門にも本格的にメールと予定表、オンライン会議の展開をはじめ、日本で 800 人への展開を行います。
自動車・自動車部品・輸送用機器
- カルソニックカンセイ株式会社: サーバーが日本と北米、欧州に設置されており、3 つの Notes がそれぞれのサーバー上で稼働、これらが疎結合された状態で運用されていましたが、世界共通のコミュニケーション基盤として、Office 365 が採用されました。同社では 10 年以上にわたって Lotus Notes/Domino が使用されていましたが、そこからの全面的な移行が進められているのです。国内のメールとスケジュール管理、予約管理の移行はわずか 2 週間で実施され、約 6,000 ユーザーへの展開を完了。海外展開も順次実施し、全世界で 1 万人を越えるユーザーが利用します。Notes アプリケーションの移行も 1 年以内に完了する予定。中国・タイ・日本の間を Lync Online でつないで Microsoft Excel シートを共有しながら移行計画の議論を行ったのですが、情報共有がスムーズだったため、短時間で話をまとめることができました。
- トヨタ自動車株式会社: 2012 年 6 月、米国トヨタ販売と北米にあるその他の関連会社は、占有型の環境として Microsoft Office 365 Dedicated のクラウド サービスの展開を開始しました。日本のトヨタとその他の海外の関連会社では、Microsoft Exchange、Microsoft SharePoint、Microsoft Lync、および Windows Server の自社運用エディションを使用したハイブリッド モデルを利用する予定です。今回の展開は、マイクロソフト テクノロジによるトヨタの共同作業の拡大を表しています。トヨタとマイクロソフトは 2011 年 4 月に、Windows Azure クラウド プラットフォームを使用した次世代のテレマティクス サービスの提供において提携関係を結びました。
- トヨタ紡織株式会社: 世界 5 極体制 (「北中南米」、「中国」、「アセアン・豪・印」、「欧州・南ア」、「日本」の 5 地域) 87 拠点を展開し、今もなおグローバルに成長を続けている同社の情報基盤を長期にわたり、柔軟に、効率的に支えることの出来るソリューションとしてパブリック クラウド サービスの採用を決断。詳細な比較検討の結果、選ばれたのは Microsoft Office 365 でした。過去に行った合併の際に 3 社の情報共有基盤がそれぞれバラバラであった状態のまま、これを統一する間もなく『グローバルカンパニー』として成長を重ねてきました。そのため、グループ全体の情報基盤に関してガバナンスを利かせることができませんでした。この状態を改め "トヨタ紡織スタンダード" とでも呼ぶべき情報基盤に統一を図ることが課題として残っていました。
- 本田金属技術株式会社: 本田金属技術グループは国内 5 拠点、世界 6 か国 9 拠点でビジネスを展開しており、最近では複数拠点が関与するバリュー チェーンが増えています。仕事の進め方はどんどんボーダーレスになっています。しかし以前のグループウェアは、このようなボーダーレスな環境に適合してませんでした。 Lotus Notes を導入し長年にわたって使い続けてきましたが、海外拠点や取引先との情報共有が難しいという問題を抱えていたのです。グローバル連携に適合した情報共有基盤をいかにして実現するか。これが大きな課題になっていたのです。Office 365 への移行の最大のメリットは拠点間の情報共有スピードの向上にあります。海外拠点間が連携する場合でも、日本を介する必要がなくなる日も遠くありません。ガバナンスのために日本拠点が関与すべきケースも少なくありませんが、その場合でも日本が間に入る形ではなく、複数の拠点が同時に参加する形でコラボレーションが行えるようになると言います。Office 365 はグローバルな情報共有のスピードアップに、大きな貢献を果たすと期待しています。
- ヤマハ発動機株式会社: 同社では『日本で製造して輸出する』だけではなく、『現地で製造して、現地で販売する』ビジネス モデルを従来から実践しています。日本をマザー ファクトリーとしながら、アジア / 中国、北米 / 南米、ヨーロッパ、日本の各リージョンに広がる拠点が、それぞれに主体的に活動してきました。しかし、新たに掲げられた中期経営計画の目標を達成するためには、今後、リージョン間の連携をさらに強めていく必要があります。新中期経営計画において、グローバル 4 極の統合開発・調達センターによる開発の現地化をさらに推し進め、部材の調達・供給から製造までリージョン間で連携させ、モノづくり力を高めていくことが重要な課題となっています。この課題を解決するための手段の一つとして、メールやポータル サイトなどを活用した情報共有が大きな役割を担うことになります。Office 365 導入後、インドやシンガポールなど海外拠点における評価は「高い」と言います。SharePoint Online や Lync Online の活用については、当初より考慮しており「複数のサービスが整っていることによる可能性の大きさと、安心感」が Office 365 採用のメリットとして挙げられます。加えて、こうしたさまざまなメリットを、グローバルが望むスピード感で導入できることこそが、最大のメリットです。
その他製造業
- ヤマハ株式会社: ワークスタイル変革の一環として、Office 365を活用したグローバル情報基盤を導入します。ヤマハのグローバル31ヶ国約1.2万人の社員が利用する、大規模なOffice 365活用事例となります。ヤマハでは、取引先を含めたタイムリーな情報共有やモバイル活用といった昨今のニーズへの対応や運用コストの削減のため、Lotus Notesを用いたこれまでの情報基盤の刷新を行う必要がありました。新しい情報基盤の選定にあたっては、複数のソリューションを検討した結果、企業利用における運用のし易さ、中国からの利用に実績がある、Officeとの親和性が高い、といった項目が検討され、その結果、Office 365が選ばれました。
商社
- エレマテック株式会社: 国内21拠点、海外36拠点において、エレクトロニクス関連の材料および部品の供給をはじめ、優れた物流機能と情報を提供するサービスネットワークを確立しています。当初は海外拠点でGoogle Apps を採用していましたが、中国国内からのメール送受信レスポンス速度が課題となっており、国内のユーザーからは Google AppsのWeb画面がなじまないという声も多くありました。今後強化予定のセキュリティ対策の費用が比較的安価に実現できるという点から、国内外を統一するクラウド環境としてOffice 365を採用するに至りました。日本・海外のシステムの一元管理を自社のリソースを使わずに実現することで、業務の効率化、メールシステム管理の負担の大幅減少、さらに国内、海外間の音声通信をLyncで行う事で通信コスト削減も見込んでいます。
- 丸紅株式会社: アジア地域、欧州地域、米州地域の Office 365 ドメインを並行運用しており、日本国内では丸紅のデータ センター内に設置されているオンプレミス型の Exchange Server も稼動しています。インターネット経由で社外から届いたメールは、国内データ センター内のメール配信サーバーによって、各地域のメール サーバーに振り分けられます。国内データ センター内に設置された Active Directory フェデレーション サービス (ADFS) によって、Office 365 と連携します。さらにアカウント情報は丸紅独自の統合アカウント管理システムで管理されており、人事システムから抽出した情報をこのシステム経由で、各 Active Directory に設定するようになっています。まず、タイ バンコクと中国 上海で、パイロット導入が実施されました。ここで使い勝手を検証したうえで、本番展開へとつなげていったのです。その後、アジア約 30 拠点へと展開。さらに中国を含む約 50 拠点への展開を完了しています。中東・アフリカ地域への展開もスタート。1 か月間で約 20 拠点への展開。欧米では 2 か月で約 60 拠点への展開が完了しています。日本でも展開が完了しています。
卸売業・小売業
- オットージャパン株式会社: 世界 20 か国に広がるオットー・グループの一員として、カタログやインターネット、店舗などを通じて、多彩かつ洗練されたファッション アイテムを販売しています。同社では、ビジネスのスピード感を支えるために欠かせない情報共有基盤の刷新に着手。従来活用していた Notes がサポート切れを迎えることを契機として、メール システムに、マイクロソフトのパブリック クラウド サービスである Microsoft Office 365 の Microsoft Exchange Online を導入しています。
- 株式会社明光商会: 『明光グローバルシステム』という総称で、業務システム全体のクラウド化を進め、"持たざる IT" を実現したことは、今後予定される海外拠点の構築に際しても、プラスに働くことでしょう。Office 365 に関して言えば、そもそもマイクロソフトがグローバルに展開しているサービスですから、多言語展開に際しても、何ら不安はありません。
保険
- メットライフ: 米国内においては社内の主要メッセージング システム上で 55,000 超のメールボックスを運用し、その他の地域では 40 前後の電子メール ソリューションを使用していたため、コミュニケーションおよび共同作業支援用のプラットフォームを一本化することが最重要課題となっていました。真のグローバル企業になるための戦略として、時間や場所を越えたコラボレーション、円滑なコミュニケーション、イノベーションの促進を実現するべく、Office 365 を採用してグローバル コミュニケーション プラットフォームのすべての構成要素をシームレスに統合し、従業員、リーダー、イノベーターの連携を強化しました。
物流
- 株式会社バンテック: 国内約 3,000 ユーザーへの導入を完了し、約 800 名が利用する海外拠点への展開も行います。メール システムの統一を望む声は、海外の方が強く挙がってきています。一部、Google Apps を採用している拠点もありますが、これも Exchange Online に切り替えていく予定です。
サービス業
- 株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ: 香港、上海と拠点を広げる中で、グループ約 1,600 人に企業理念の徹底と最新のナレッジ共有をスムーズに行える環境を整えていく上で、当然ながら IT が重要な役割を担っています。従来は、半年に 1 回、全社員を集めた社員総会を実施し、さまざまなナレッジやビジョンを共有してきましたが、距離も遠くなりますし、アジアに進出すれば現地採用も増えていきます。最新の IT を活用してリアルタイムにコミュニケーションできるようにすることで、グループ全体のサービス品質を保ち続けられるようにサポートすることが重要でした。そのため同社では、日本全国およびアジアへと広がっていくグループの情報共有基盤整備などに取り組んできました。そして、同社のコミュニケーションを支える上で、もっとも重要なシステムであったメール システムに、Microsoft Online Services (当時) の 1 つとしてラインアップされていた Microsoft Exchange Online を採用しています。同社では Exchange Online 導入後、中国のオフィスを含めて 1,350 ユーザーが、月間平均で 約 30 万通、年間で約 380 万通ものメールを利用しています。少しでもメールが『遅い』など変わったことがあれば、すぐに問い合わせが来ます。そういった意味では、Office 365 になって、マイクロソフトのサポート対応が一段と良くなっていることがありがたいです。対応がスピーディーで、回答の精度も高いです。サービスを活用する側としては、こうした変化は非常に心強いです
- 楽天株式会社: 国内における人員の増強と、M&A により増え続ける海外拠点を統合するメッセージング環境を、コストを抑えると同時にスピーディに整えていくために、Microsoft Office 365 の Exchange Online を採用。さらに、インターネット経由でどこからでも利用できる Exchange Online をよりセキュアに利用するために、Active Directory フェデレーション サービス (AD FS) を活用することで、社内の認証基盤とリモートで連携。VPN 経由で Exchange Online にアクセスするセキュアな環境を実現しています。
ホテル業
- ハイアット: ハイアットは南極以外のすべての大陸にホテルやリゾートを展開しています。ハイアットは、世界中のその他の国と地域に約 500 の施設を展開しています。各施設の場所は非常に分散しているため、コミュニケーションと共同作業体制のため同じように広範なネットワークを保守する必要があります。 ハイアットでは Lotus Notes の電子メール システムを Microsoft Office 365 に入れ替えました。この移行に伴い、Microsoft Office、SharePoint Online、Exchange Online、Lync Online を含む、クラウド ベースの一連の共同作業ツールと生産性ツールを得ました。ハイアットの経営陣、ホテル従業員、営業担当者のすべてが、以前から使用していたドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションなどのファイルに、いつでもどこからでもアクセスできるようになりました。
- マンダリンオリエンタルホテル: 過去 20 年にわたり世界の主要ビジネス センターと行楽地に事業を拡大してきました。現在ではアジア、ヨーロッパ、北米に 28 のホテルを所有し運営しています。ホスピタリティ ビジネスは独特なもので、24 時間年中無休の環境下で運営されます。グループの IT チームは、多数の電子メール サーバーの世話と、支社間のユーザーの移動 (ホテル業界ではよくあることです) に伴うメールボックスの移動の管理に、毎月各ホテルにつき 20 時間を費やしていました。IT スタッフはさまざまなことを担当します。電子メール サーバーの管理は、彼らにとっては単なるアルバイトのようなものです。Office 365 があれば、彼らはもうこのような仕事をしなくて済むのです。
また、海外展開を行う際に検討が必要な事項については、以下の記事を参考にしてください。